2025年11月12日、ゲームエンジン「Unreal Engine 5」の最新版となる 5.7 が正式リリースされました。
今回のアップデートでは、広大なオープンワールド構築、リアルなマテリアル表現、アニメーション/リギングの強化といった、多方面にわたる進化が盛り込まれています。
開発者にとってワークフローの効率化や表現の自由度向上をもたらすこのバージョンが、今後のゲーム・映像制作にどのような影響を与えそうか見てみましょう。
大規模ワールド制作を加速 ― PCG と Nanite Foliage
UE 5.7 では、以前よりプレビュー提供されていたプロシージャル生成(PCG:Procedural Content Generation)がついに 商用利用可能な安定版 に。(動画の00:08くらい)
これにより、地形、植生、オブジェクトの自動配置を使って広大なマップを短時間で生成できるようになりました。
さらに、Nanite Foliage という新しいジオメトリレンダリング機能が導入され、高密度な草木・植生をリアルタイムで描画可能に。従来の LOD のちらつきや描画負荷を気にせず、森や林、草原などの自然環境を“詰め込み”やすくなりました。これにより、オープンワールドゲームや環境表現重視のタイトルにおいて、自然描写の自由度が格段に上がります。
マテリアル品質大幅強化 ― Substrate と照明改善でリアル系表現に余地
UE 5.7 では、新しいマテリアル作成/レンダリングフレームワーク Substrate が正式採用されました。(動画の00:35くらい)
金属、塗装、湿潤、汚れ、クリアコート……といった多層の質感を物理的に正確かつリアルに再現でき、近年増えているフォトリアル表現やハイディテールなVFX映像制作で威力を発揮します。
加えて、照明面ではより多くのライトを扱いやすく、複雑なライティングでもフレームレートを保ちやすい設計に。深みある世界観や環境の雰囲気づくりが、以前より手軽に行えるようになりました。
キャラクター/アニメーション強化 ― MetaHuman 統合と制作ワークフローの改善
UE 5.7 では、キャラクター制作やアニメーションワークフローも強化されています。特に、MetaHuman との連携が深まり、リギングやフェイシャルキャプチャ、髪の表現などでワークロードの軽減が期待されます。(動画の01:05くらい)
さらに、エディタ内でのアニメーション/スケルトン編集ツールの改良により、従来よりも手早く自然なキャラクターアニメーションを制作可能です。
また、開発者の利便性を向上させるために、エディタ内 AI アシスタントも導入されました。作業中にヘルプやヒントを即座に表示でき、開発速度の改善や学習コストの低減に寄与します。
バーチャルプロダクション & ワークフロー改善 ― 実写合成やレンダリングの柔軟性
UE 5.7 では、リアルタイム合成ツールの Composure が強化され、実写素材とCG素材のシームレスな合成がより手軽に。(動画の1:41くらい)
これにより、カメラ撮影と3D背景の融合がリアルタイムに可能となり、制作コストと時間の両面で効率化が期待されます。
さらに、ビルドヘルスやインクリメンタルクッキングなどのビルド周りの改善も行われており、大規模プロジェクトでも安定した開発がしやすくなっています。
まとめ:UE 5.7 なら“大規模かつ高忠実度”の3D世界を創れる
Unreal Engine 5.7 では、多くの開発者が“欲しかった機能”が実装された印象があります。
特に ワールド構築、マテリアル表現、アニメーション、照明、バーチャルプロダクション といった主要な領域で大きな進化を果たしました。
これにより、「大規模なオープンワールドゲーム」「リアル指向のキャラクター作品」「CG 映像・バーチャルプロダクション」など、多彩なジャンルが手の届くものになり、開発者の選択肢は大きく広がることと思います。
UnityからUE5に移行したい方に向けた記事もありますので、興味がある方はそちらもどうぞ。


