Unity で大規模なデータ更新や、初回起動時の追加ダウンロードを行う際に欠かせないのが Addressables(アドレッサブルズ) と Cloud Content Delivery(CCD) の組み合わせです。
KuroMikanもとうとうこの分野を無視できなくなってきたので、自身の勉強がてら連載形式で公開していこうと思います。
第1回目となる今回の記事では、実装に入る前の “仕組みを理解するための基礎” を、最新の Unity 公式ドキュメントの内容を踏まえて解説します。
■Unity CCD の有効化がまだの方はこちらのエントリーをどうぞ
1-1. Addressables と CCD はどういう関係?
まず押さえておくべきは、Addressables はアセット管理の仕組み、CCD はそのアセットをクラウド配信する仕組みという点です。
これらは役割が明確に分かれています。
Addressables(アドレッサブルズ)
- Unity 内でアセット(画像・音声・Prefab など)に “アドレス” を割り当てる仕組み
- 依存関係をまとめて AssetBundle 化
- 実行時に柔軟にロード/解放できる
- ローカル/リモートのどちらからもロードできる
Cloud Content Delivery(CCD)
- Addressables がビルドした AssetBundle と Catalog をホストする
- Release(リリース)と Badge(バッジ)によるバージョン管理
- CDN を使用した高速配信
- ストア更新なしでゲーム内データだけ更新できる
つまり、「Addressables で作ったデータを CCD に置き、ゲームから読み込む構図」ということです。
1-2. アセットが動く流れ(データフロー)
アドレッサブルズ → CCD → クライアント
という流れを理解することが、この連載全体の基盤になります。
▼ データフローの全体像
Addressables グループ設定
↓
Addressables Build(AssetBundle / Catalog 生成)
↓
CCD バケットへアップロード
↓
CCD でリリース(Release)作成
↓
バッジ(Badge)をそのリリースに割り当て
↓
ゲーム起動時に Catalog をダウンロード
↓
Addressables.LoadAssetAsync() でアセットを取得
Catalog(後述)が“更新が必要かどうか”を判断するため、
クライアントは CCD から Catalog → 必要な Bundle を取得 して動作します。
1-3. Profiles はなぜ重要?
アドレッサブルズの基本設定の中でも、とくに重要なのが Profiles(プロファイル)。
これは 「どこにビルドし、どこから読み込むか」 を設定する場所で、
CCD を使う場合は Remote Load Path を CCD の URL に変更する必要があります。
▼ Profiles で設定する主な項目
- BuildPath
→ アセットをどこにビルドするか - LoadPath
→ 実行時にどこからアセットを読み込むか(CCD の URL を指定) - Remote 〜
→ Addressables がクラウドアセットを扱うための設定
プロファイルを正しく設定しないと、クライアントが CCD に配置されたアセットを見つけられずロードに失敗します。
後の回で詳細に扱いますが、
まずは「ここが非常に重要な設定である」という認識だけ持っておいてください。
1-4. 基本用語(CCD & Addressables で頻出するもの)
CCD と Addressables を理解するうえで知っておきたい基本用語をまとめました。
最初にここを押さえておくと後の回がスムーズに読めます。
- Catalog(カタログ)
Addressables が生成する アセット一覧ファイル。
クライアントはまずこれをダウンロードし、「どのアセットがどこにあるのか」「更新が必要か」を判断します。
Catalog が更新される=ゲームの配信データが更新されると言っていいほど重要な存在です。
- AssetBundle(アセットバンドル)
Addressables がアセットをまとめる形式。
画像・Prefab・音声などをひとまとめにして CCD が扱いやすくします。
クライアントは必要な AssetBundle だけをダウンロードするため、アプリ容量削減にも有効です。 - Bucket(バケット)
CCD 側でコンテンツを保管する場所。
プロジェクトによっては以下のように使い分けることが多いです。
・development
・staging
・production - Release(リリース)
CCD側のバケットにアップロードされたコンテンツのスナップショット。
Addressables Build の結果が、このリリース単位で管理されます。 - Badge(バッジ)
CCD側で特定のリリースに名前をつけて参照する仕組み。
例)
・latest
・development
・production
クライアントは「Badge の指すリリース」を読みに行くため、バッジを変更すると アプリ更新なしで配信バージョンの切り替えができるのが大きな特徴です。 - Entry(エントリ)
Addressables グループに登録された各アセットの管理単位。
ビルド時にどの Bundle に入れるか、どのアドレスで参照するかが決まります。
1-5. ここまでのまとめ
- Addressables は アセット管理/AssetBundle 化の仕組み
- CCD は クラウド配信とバージョン管理の仕組み
- Catalog → AssetBundle → CCD → クライアント の流れで動く
- Profiles の設定が “クラウド配信を成功させる鍵”
- CCD の運用は「Bucket → Release → Badge」の三階層で構成される
前回/次回の記事リンク
次は、アドレッサブルズの初期セットアップを行います。
CCD と Addressables をつなぐための最初のステップとして、Profiles の設定・リモート用グループ作成・ビルドの準備 をわかりやすく解説していきます。
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